ストーリー2
90年代に入り、長引く冷戦は新たな局面を迎えようとしていた。
長年その象徴として東西に分断されていたドイツを[評議会連邦]が統一したのである。
これにより[合衆国]と[評議会連邦]、二国間の軋轢はピークに達しようとしていた。
国際社会への影響を恐れた[合衆国]は早急に対策を検討、以前から進めていた、ある計画を実行に移す。
その計画とは今なお占領政策の影響下にある日本の首都を移転させ、東京を再建する、というものだった。
数年後、首都は三重へと移り、東京はかつての首都としての機能を一切失った。
その東京に新たに与えられた役割とは、欲望と快楽の合理的支配、つまりは需要と供給を体現する資本主義システムの象徴としての機能であった。
この新生東京にはらまれた[合衆国]の真意は二つあった。
ひとつは東側主義国家に対する資本主義のアピール、そしてもうひとつは主義国勢力東進を防ぐための極東防衛線の要衝、戦略都市としての[東京]である。
しかしこの首都移転は、反政府ゲリラ組織・秋津列島解放戦団による急激かつ大規模なテロの活発化を招いた。
彼らはいちはやく首都移転による戦略都市構想を見抜き、それを帝国主義的再編としたのである。
国家に見捨てられ、[合衆国]の隷属と化した東京を憂いだ人々は、新生東京を[楯の都市]とよんだ。