（空から聴こえる声）
人間は大抵、社会で生きられるように、夢の世界でも生きられる。

人間は賢い。
いや、宇宙の粒子たちは、
みな、賢い。
しかし、そこから当然、脱線するものもいる。
それが、つまり、夢の世界でゲームで負けて
夢の世界で死ぬものだ。

（女、息をきらしながら）
わては負けへんぞ
いや、負けないでござる
忍者でござる

仮面の男、すぐ後ろに

（女、再び歩き出す）
負けないわ

（空から聴こえる声）
人間は当たり前のように
毎夜、現実から夢へと、
そして、夢から、現実へと行きかうが。それにしくじるやつもいるということだ。
鳥が海を渡る。渡り終えるやつと、
わたり終えず、海に落ちるもの。

社会のしきたりについていけるものと、途中でついていけず、落ちるもの。
この世界はルールだ。

（女）
どうせ世界は始まるんだろ

私が死んでも
この夢のなかで死んでも

（空から聴こえる声）
いや、もしも、夢の時刻、
3時45分におまえが死んだとすると
永久に世界は死ぬ。
おまえの世界が死ぬのだ。
後には何もない。
ただの死だ。

おまえの死んだ後の世界
という観念はない。
おまえはただ死んだのだ。
それが宇宙の真理だ。