（空から聴こえる声）
おまえの死んだ後の
世界は何もない。

（女）
意味？

（空から聴こえる声）
わかんねーって？
そりゃ、そうだ。

猿にパソコンが理解できないように人間に
夢と世界は理解できん。

それは
いずれ理解されるかも知れんが。それを解くのが、現実の学問だ。
芸術だ。哲学、文学、絵画、映画だ。
この私でも、実のところ、この世界は、すべて理解できん。

つまり、分かる範囲の道案内人だ。
私の夢案内は、人間が猿を先導するのと変わらない。
真理と比べれば、同じようなものだろう。
レベル程度は一緒だ。

わたしの上にはずっと先にいろんな先導者がいる。
私も先導されているに過ぎん。

そして、今の使命をしているだけだ。

（女）
じゃあね

（女、公園のブランコに座って）
みつかったー、扉が

世界が回りだす

（女）
ここ

（空から聴こえる声）
さあ、帰還するのだ！
現実世界へ！

おまえにはためしに
この世界の記憶を与えてやろう。
おまえは、選ばれたのだ。
これもすべて誰かのご意思。
おまえにこの記憶を
やるのも何かの運命。
この先、何かが、きっと、
起こるだろう。
その時、
再び、
また会おう。